脂質異常症
Disease
脂質異常症
Disease
脂質は、糖質・タンパク質と並んで身体に欠かせない三大栄養素の一つであり、脂質は通常であれば、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪が、血液中にバランスよく含まれています。また脂質は、糖質やタンパク質が1gあたり4kcalであるのに対して、脂質は倍以上の9kcalもあるエネルギーの貯蔵庫です。さらにエネルギー源だけでなく、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収を促すなど、重要な役割を担っています。
通常私たちの体内では、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪の3つがバランスよく含まれていますが、「中性脂肪」や「LDLコレステロール」(いわゆる悪玉コレステロール)が多くなりすぎたり、血管や体の末梢組織に蓄積した余分なコレステロールを排泄してくれる「HDLコレステロール」(いわゆる善玉コレステロール)が少なくなると脂質異常症と診断されます。
このような状態であると、血管内壁にコレステロールが溜まり、血管を固くさせたり、血管内腔を狭くさせ血液の流れを阻害する可能性が高くなります。このような状態のことを「動脈硬化」とよび、「動脈硬化」は脳梗塞や、肺塞栓、心筋梗塞などの命に関わる重大な疾患の要因となります。そのため脂質異常症を予防することはもちろんですが、動脈硬化を予防することも必要不可欠となります。
血液の中の脂肪分はいくつかのタイプに分けられ、健康な人は、LDL-コレステロールが140mg/dL未満、HDL-コレステロールが40mg/dL以上、トリグリセライド(中性脂肪)が150mg/dL未満です。この三つの値のいずれかがその範囲を超えた状態が、脂質異常症です。健康診断や検診で異常を指摘された方、昔から脂質の数値が気になっている方は一度、佐賀県佐賀市本庄町の『かとうクリニック内科・呼吸器内科』までお越しください。
LDLコレステロール値 |
判定 |
60-119 |
異常なし |
120-139 |
軽度異常 |
140-179 |
要再検査・生活改善 |
59以下もしくは180以上 |
要精密検査・治療 |
HDLコレステロール値 |
判定 |
40以上 |
異常なし |
35~39 |
要再検査・生活改善 |
34以下 |
要精密検査・治療 |
中性脂肪 |
判定 |
30-149 |
異常なし |
150-229 |
軽度異常・生活改善 |
230-499 |
要再検査・生活改善・治療 |
29以下もしくは500以上 |
要精密検査・治療 |
脂質異常症の発症には、過食、運動不足、肥満、喫煙、飲酒、ストレスなどが関係しているといわれています。特に、お腹に脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」の方はLDLコレステロールや中性脂肪が多くなり、HDLコレステロールが少なくなりやすい傾向があります。
一方で遺伝的な要因によって起こる「家族性高コレステロール血症」というものもあります。このタイプは、通常の脂質異常症に比べてLDLコレステロール値が著しく高く、動脈硬化が進行しやすいとされています。親や祖父母、兄弟など血のつながった親族に脂質異常症や、男性で55歳未満または女性で65歳未満で心筋梗塞を起こした方がいる場合、家族性高コレステロール血症の可能性が高くなります。
さらに、特定の疾患により脂質異常症が症状として現れる疾患もあり、それを二次性脂質異常症と呼びます。二次性脂質異常症の代表的な病気は以下になります。
・甲状腺機能低下症
・ネフローゼ症候群
・腎不全・尿毒症
・閉塞性黄疸
・糖尿病
・クッシング症候群
・自己免疫性疾患
・薬剤性
・妊娠
中性脂肪は糖質の摂取によって増えるため、甘い飲料、お菓子、麺類は控えましょう。また同じ量を食べていても睡眠前に食事を取ると中性脂肪が増えやすとされています。また飲酒するとアルコールの分解に伴い、肝臓で中性脂肪の合成が進みます。
中性脂肪の数値の改善には魚の油であるEPAやDHA、菜種油がよいとされ、これらは中性脂肪の合成を抑えてくれます。
LDLコレステロールが高い方は、脂身のついた肉(ひき肉、鳥皮、ラード)や生クリーム、洋菓子を控え、玄米や、納豆、海藻、きのこ、こんにゃくなどの食物繊維の多い食品を積極的にとりましょう。
LDLコレステロールが低い場合はその陰に別の疾患が隠れている可能性が高いです。医療機関を受診しましょう。
中性脂肪とHDLコレステロールは相反する関係にあり、中性脂肪が多い人は、HDLコレステロールが低くなりやすい傾向にあります。そのため、中性脂肪の改善がHDLコレステロール数値の改善に繋がります。
※HDLコレステロールが高値の場合
男性では40歳以上、女性で閉経後にHDLコレステロールが100mg/dlを超える場合には、かえって動脈硬化が進んでしまう場合があります。原因として薬剤の副作用や飲酒、肺や肝臓の病気などがありますので一度精査をお勧めします。
脂質異常症の診断と治療経過観察においては下記の項目の血液検査をいたします。
血液中のコレステロールの量
別名「悪玉コレステロール」と呼ばれる血管の内壁などに溜まることで、動脈硬化のリスクを高めるコレステロール
別名「善玉コレステロール」と呼ばれるLDLコレステロールをはじめ、身体中の脂質を体外へ排泄するためのコレステロールであり、動脈硬化を防ぐ役割があります。
血液中の主要な脂肪形態を示します。
尿検査は脂質異常症の直接的な診断には用いられませんが、以下の様な検査によって脂質異常症との合併症を併発していないかどうかの判断を行います。
脂質異常症は腎機能と密接に関係している疾患の一つです。そのため尿中のタンパク質(アルブミン)を計測し、腎機能が低下していないかどうかを定期的に検査します。
脂質異常症は前述した通り、「動脈硬化」の危険因子の一つです。動脈効果は脳梗塞や、肺塞栓、心筋梗塞などの命に関わる重大な疾患の要因となります。そのため脂質異常症を予防することはもちろんですが、動脈硬化を予防することも必要不可欠となります。
心電図検査は、動脈硬化が引き起こす心疾患である心筋梗塞や心臓の異常なリズムを検出するのに役立ちます。
超音波検査は頸動脈における動脈硬化がどの程度かを身体に負担をかけることなく調べることができる検査です。検査によって血管の詰まりやプラークなどの動脈硬化所見が見られる場合、病状が進行している可能性があります。
肝臓でコレステロールの合成を抑制することで、血中のコレステロール値を下げます。
副作用:筋肉痛、腹痛・吐き気などの胃腸症状、肝機能障害
コレステロールを対外へ排出する働きを促進することで、血中のコレステロール値を下げます。
副作用:便秘、硬便、軟便、腸閉塞など
小腸でコレステロール吸収を阻害し、血中コレステロール値を下げます。
副作用:便秘、筋肉痛
肝臓での中性脂肪・リポタンパク質の合成を抑制し、LDLコレステロール値を下げ、HDLコレステロールを増やします。
副作用:便秘、下痢、胃部不快感、発疹、顔の赤らみ、ほてり
中性脂肪の合成を阻害し、LDLコレステロール値を下げ、HDLコレステロールを増やします。
副作用:筋肉痛、腹痛・吐き気などの胃腸症状、胆石、肝障害など
脂質の合成を抑制したり、血液を固まりにくくしたりする作用により、血中コレステロール値を下げます。
副作用:胃の不快感や吐き気、発熱、皮膚や白目が黄色くなるといった肝臓の副作用が疑われる症状、鼻血などの出血、下痢など
薬を飲み忘れた時の対処法は、薬によって異なりますので、事前に医師に指示を受けておくようにしましょう。飲み忘れても、まとめて飲まないでください。
お薬の効果を出すために、また副作用を防ぐためには、医師に指示された通りの時間に、指示された通りの量の薬を飲み続けることが大切です。
服用方法は年齢、症状により適宜増減されることがあります。 医師の指示通りに服用してください。
上記に示した副作用は、薬によって生じるもの生じないものや軽度のものから重度のものまで記載しております。
低用量ピルについて
低用量経口避妊薬(通称ピル)は脂質代謝異常のある方には、血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告があります。また、脂質代謝に影響を及ぼす可能性があるため、症状が増悪することがあります。詳しくは婦人科の担当の医師に確認してください。